【書評】西野亮廣「革命のファンファーレ」を読んでみたら感心した!

 

キングコング西野こと西野亮廣さんの著書「革命のファンファーレ」を読んだのでレビューしたいと思います。

 

無駄な記述がない

 

本書は、西野さんの仕事に関する考え方を、広告や宣伝をテーマにして語ったものです。

西野さんは昨今いろいろなところで物議をかもす発言や行動で話題になることが多いですよね。

その西野さんの行動の裏というか、どういった意図でその行動に至ったのかという、計算高いとも言える理由が惜しげもなく披露されています。

本書全体を通して筆致は鋭く、常に論理的に筋が通っていて、かなり頭がきれる人なんだなという印象を受けました。

実際この本の中では無駄な記述と言えるものが一切ないです。一切。

カミソリみたいに鋭い意見を端的に述べているのがずっと続いているので、200ページ程度の分量ですが、内容は濃いと思います。

お笑い芸人の方ですから、無駄だったり冗長だったりすることを嫌うのかもしれませんね。コントや漫才で無駄な部分があったら一気につまらなくなったりしますから(お口チャッ……なんでもないです)。

 

本質的にビジネス書

 

さて、内容の方ですが、とにかく筋の通った鋭い意見のオンパレードで、説得力がものすごいです。

西野さんが今までやってきたことにはハッキリとした意図があり、しかも理屈が通っていることをちゃんと示しているので読んでいて納得してしまう。少なくともこの本に書かれている内容に関しては、西野さん自身が実践して結果を出しているわけですから、興味がわいてきてどんどんページをめくるスピードが速くなります。

本書は本質的に言って、ビジネス書と言っていいと思います。ビジネスの基本的なテクニックや考え方を西野さん流にアレンジして書いているのですが、本質をよく理解してらっしゃるので僕の心に刺さりました。実際、頭でわかっていても本質を理解していないビジネスパーソンは多いですからね。

 

西野は嘘つかない

 

本書の体裁としては、項の最初にアイキャッチのような名言(?)が用意されていて、そのテーマに沿って論述が続いていきます。

例えば、

他人と競った時点で負け。自分だけの競技を創れ。西野亮廣

といった感じ。

これはビジネス的に言うと「競合するのを避けろ」ということで、基本的なことなんですが、「わかっちゃいるけど……」というビジネスパーソンは多いですね。

こういう格言じみたアイキャッチは、あえて「インスタ映え」させるために作ったとのことです。スマホで撮ってSNSにアップしたくなるように演出したと。SNSが隆盛を誇る現代では、それを意識した本づくりが必要ということですね。これもこの本で書かれていて、「正直だなあ」と思ってしまいます。

本書でも西野さんの「嘘はつかない」という信条が書かれています。お金というのは信用であり、お金持ちより「信用持ち」になることが大事だと彼は言います。嘘をついてしまうと信用がなくなってしまうので、つかない。例えば堀江貴文さんも、いつも正直に思ったことを喋ってくれるので、信用できますよね。

それに関連して印象に残ったのは、「認知タレント」と「人気タレント」との違いについて。

なんでも、好感度だけが高い「認知タレント」は、オンラインサロンやクラウドファンディングをやってもほとんど人が集まらないのだとか。

テレビにしょっちゅう出ていて有名なタレントでも、人気があるとは限らない。その根拠として、「ゲス不倫」で話題になったベッキーさんと川谷絵音(ゲスの極み乙女。)さんについて語っています。川谷さんはわりと早く復帰したのに対して、ベッキーさんはなかなかできない。それは川谷さんにはファンがついていて、ベッキーさんにはついていないからだと。ベッキーさんといえばしょっちゅうテレビで見かける有名なタレントさんでしたよね。でもファンはあまりいなかったと。

「認知タレント」と「人気タレント」の違いは、嘘をついているかどうか。好感度を上げるためにテレビで嘘ばかりついているタレントは、結局のところ信用されないというわけです。

西野さんはそういうふうになりたくないので、嘘をつかないことにしているんですね。

この「認知」と「人気」は微妙な違いなわけですが、微妙な違いを理解して区別するのが頭のいい人の特徴だったりします。突き詰めていくと、「考える」とは「区別する」ということですからね。こういったところから、西野さんの頭の良さが垣間見えるわけです。

 

炎上の根拠

 

本書の目玉といえるのが、絵本「えんとつ町のプペル」の無料公開を発表した際のネット上での大炎上について解説した部分でしょう。記憶に新しいですよね、あの炎上は。

簡単に言うと、ネットに無料公開してたくさんの人に内容を確認してもらい、その上で紙の本を買ってもらう、という戦略だということです。実際、プペルの売上はかなり増えたとか。

これは「フリーミアムモデル」といい、実はかなりポピュラーな手法なんですよね。海外では当たり前に行われていたりします。

そもそもグーグルやツイッターも無料で人を集めてからマネタイズしているので、フリーミアムの一種だと言えます。「労働に対してお金を支払うべき」という批判をツイッターで西野さんにしている人に対して、西野さんはその矛盾を指摘しています。「あんたもそのツイッターに1円も払ってないやんけ」ということですね。

これは実際その通りで、僕自身この騒動があった時、なんで西野さんが批判されているのかよくわかりませんでした。僕はフリーミアムモデルを知っていたので、何を今さら?と思ったんです。言ってしまえばテレビもフリーミアムなわけで、なんら珍しいやり方ではないんですけどね。西野さんもテレビの事業モデルについて言及していますが。

この「フリーミアム」という考え方は、クリス・アンダーソンの「フリー」という書籍で一躍有名になりました。

西野さんは「ロングテール」という考え方もこの革命のファンファーレで書いているのですが、この「ロングテール」という理論を提唱したのもクリス・アンダーソンです。

西野さんはまず間違いなく「フリー」「ロングテール」の二冊を読んでいるでしょう。僕もクリス・アンダーソンのファンなので、この二つの理論を解説している項ではうなずくことが多かったです。

フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略ロングテール‐「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ここらへんからわかるのは、西野さんは普段からビジネス書を読んで勉強しているということなんですよね。ちゃんとまじめに勉強している。このあたりも好感が持てる要因だったりします。彼は努力の重要性を強調していますが、身をもって証明しているんですね。

 

広告の本質を鋭く突く

 

ニュースを出すな。ニュースになれ。自分の時間を使うな。他人の時間を使え。

の項では、完全にビジネス上の合理的思考を披露しています。

まず「宣伝アカウントに、宣伝効果があるはずがない。」という言われてみれば当然のことを指摘しています。

たしかに宣伝臭い広告は普通無視しますもんね。だから、ニュースを出すのではなく、自分がニュースになるべきだというのです。これは広告の本質を突いています。たしかに、広告とはそうあるべきというか、そうじゃないと広告として成立しないですよね。

繰り返しますが、これは完全にビジネス上の合理的思考です。マーケティング理論なんですよね。西野さんははっきり言って、ただのお笑い芸人ではありません。それは明らかです。どう考えても、彼は優秀なビジネスマン。

Youtuberのヒカキンさんを見ても思うのですが、成功する人はマーケティング感覚が鋭いんですよね。いかにマーケティングというものが大事か。本書を読んで、それを再確認させられました。

 

まとめ

 

全体的に力のある言葉でつづられた非常に良い本でした。

以前からの西野さんのファンだけではなく、ビジネスに興味がある人の入門書にも良いのではないでしょうか。

理想を言えば、「なに当たり前のことばっか書いてんだコイツ」と思えるぐらいのレベルになるのが望ましい。

そうなれば、立派なビジネスパーソンだと思います。

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

レターポット(α)がよくわからない人のための解説と使い方